2024.04.02
ブランド力!と聞くと、高級なバッグや時計が一番に連想されます。最近では、StarbucksやApple。NetflixやAmazonなどといった、価格帯やサービスの形を問わず、ブランド戦略をうまく事業に取り入れてマーケティングを加速させている事業が増えましたが、まだまだブランディング戦略をうまく導入できていない商品やサービスも多くあります。
その中で、まだほとんどの企業が導入できていないブランディング戦略が、「会社や企業組織のリブランディング」です。コーポレートブランディングや、企業ブランディングなどと呼ばれることが一般的ですが、会社をひとつのブランドと捉え、価値を高めることで、商品やサービスだけでなく、従業員や株主はもちろん、採用や外部パートナーへも良い影響をつくり、組織の力を企業の根底から最大化しようという取り組みです。
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「コーポレート リブランディング」コンサルティング・メソッド9.1
しかし、ほとんどの企業がブランディングを広報室や、経営企画、コーポレートコミュニケーション室的な部門に任せ、会社の認知度や好感度だけを向上させようとしています。そして、残念ながらその活動をブランディング活動と呼んでしまっています。他にも、ホームページをつくったり、企業CMをつくってみたり、会社案内や周年のイベントなどで、良い企業であることをPRします。会社の過去の歴史をまとめ上げ、その栄光の軌跡をまとめて見せる試みは特によく見かけます。
もちろん、その手法自体が悪いわけでは全くないのですが、重要なのは、本当にその過去の会社活動の総集編を見せることが、企業の強みを伝えることに繋がっているのか?という視点。企業体をブランドと捉えた時に、その情報だけで価値は向上するのか?という疑問が生まれてきます。
実は上記のような活動を、単体の部門がいくら行っても、会社の認知度や好感度は上げられても、企業ブランドとしての価値は根底からは上がりません。ある種、瞬間的な宣伝活動が一時的にうまくいったにすぎないのです。
特に、採用のシーズンになると、いい会社だよ!一緒に働こう!という類のメッセージが街中に大量に出てきます。広告を投下する体力のない企業は、採用サイトのクオリティーを上げたり、リクルートエージェントへの広告を強化したりと、手法は様々ありますが、効果は一時的です。
では、何をすれば価値は変化してくるのか。
これらは、周年や採用期などのタイミングで「良い会社だ!」と、PRすることが目的化されてしまっているので、当然組織そのものが良くなっているわけではありません。本来、ブランディングにとって良い組織状態というものは、どのポジションにいる従業員でも、同じビジョンを実現するために集合している状態です。それが、事業計画から逆算された、結果を出すための組織と共存している姿がベストでしょう。そして、そのそれぞれがビジョンから逆算した自身の役割を理解し、成長の先を明確に描けているのが理想。さらにそこの土台に、企業の文化や性格、風習や風土という、何にも変え難いその会社の「らしさ」が存在していれば、なお最高です。
しかし、そんな理想的な組織は多くありません。企業が掲げるビジョンへの共感どころか、目の前の仕事でさえうまく回っていないことや、お給料、福利厚生、残業などの物理的な労働環境が頭の中のほとんどを占めてしまい、働くことそのものに希望を見出すのも難しいという現実さえあります。
特に会社のサイズが大きくなってくると同時に、徐々に経営者と従業員の利害関係が相反してしまい、組織の生産性が下がっていくのをよく目にします。いくら事業コンセプトやビジネスモデルが素晴らしくても、それを実現していく組織が弱いのは致命的。その時に、必要になるのが、わかりやすい言葉や会話でのビジョン共有や、自社の社会的意義の再確認。また、それらをベースとした行動指針や、コアバリュー(自社の価値観)なのです。
2030年には人口は10%減少し、高齢化はさらに加速。働き手は減ると同時に、消費の主役はZ世代に入れ替わります。以下の図表は、リクルートマネジメントソリューションズがZ世代である新入社員に対して「仕事をするうえで重視すること」を聞いたアンケートの結果です。いわゆる金銭や競争といったような外発的動機よりも、貢献・成長・やりがいといった内発的動機を重視する傾向が強いことがわかります。生まれたときからモノやサービスが溢れる時代を生きてきたZ世代において、金銭などへの重視度合いは、上の世代よりも相対的に低くなりつつあると言われています。
引用元:リクルートマネジメントソリューションズ
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000001077/?theme=starter
そんな2030年までたった6年。前項にも述べたように、実現すべきビジョンに共感したチームであることが、良いチームの最低限の条件になってくるのは間違いないのです。
実はこの状態になると、従業員全員が採用担当であり、PRや広報の役割も持ちます。自社のビジョンに共感し、自社の進むべき道や、未来のあるべき姿に誇りを持ってるため、自らが勝手にエバンジェリスト化していくのです。すると、自社のビジョンに共鳴しそうな人は、買い手はもちろん、働き手にさえ声をかけていくようなスパイラルが生まれてきます。
実はこのスパイラルは、ブランディングに成功している商品やサービスと極めて近いのです。ブランディングがうまく機能している商品は、その愛用者やファンが、勝手に口コミや勧誘を始め、新規もリピートも促進。「買う」というよりは、「応援する」というようなマインドも生まれてくることで、広告や販売促進はほとんど不要になり、値上げをしても、不具合があっても、クレームではなく意見をくれるようになっていきます。企業も同じように、このスパイラルに入ると、採用も営業もパワーアップしていくのです。
また一時的な広報や採用広告活動ではなく、ブランディング思考で採用強化をしている企業は、採用してからのギャップが生まれにくいというのも特徴です。外から見た宣伝的な姿と、中から見る景色があまりにも違う!というのは、よく聞く話ですが、このギャップはやはり広告思考でブランドイメージを向上させようとすると必ず起こります。すなわち、一時的な広告的活動による企業のイメージアップは、企業にとってはマイナスになる可能性を孕んでいるということです。
さて、このようにブランディングは、商品やサービスだけでなく、企業組織にも極めて有効であることが分かります。事業計画と同じくらい、ミッション、ビジョンの可視化や、共感のための行動が重要になってきます。そして、それらがどの世代から見ても、どの部門からみても、どんな人種の人たちが見ても、議論できるものである必要があります。言葉だけではないかもしれません。ビジュアルや動画、空間なのかもしれません。企業理念や行動指針を、社長室だけに飾っている時代は終わりました。どんどん発信しなければなりません。ホームページやあらゆるオウンドメディア、社内やパートナーに共有していくべきなのです。そして、それらは行動指針や評価制度、社内のイベントや会議にも反映し、日々のオペレーションに落とし込んでいく必要があります。まさに、BRANDINGのINGの部分です。
MVVを中心とした事業組織全体への施策を図説化したものです。中心になる木の幹(組織の軸)を中心に、あらゆる枝がinputとoutputの両方の機能を持ちながら伸び盛り、様々な果実を生み出すことで、働く人も買う人も豊かになっていきます。中心から順に、栄養が行き渡る施策を施すことで、ツリー全体を魅力的で活力のあるものへと導きます。
新しい時代には、新しい時代の組織づくりの手法が出てきます。今から数年間は間違いなく、企業のブランド価値を高める活動が必要であり、その考え方がなければ採用も営業も苦戦する可能性があります。ぜひ、少しでも早くコーポレートブランディングに取り組んでみてください。
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