2021.08.04
ローストビーフ?事業変革?ブランディング会社がなんのコラム?と思われたかもしれません。今日はお題の通り、ローストビーフが持つ、ある特徴から「事業変革」や「リブランディング」の本質に迫っていきたいと思います。
さて昨年は、クリスマスやお正月などのイベントも、巣ごもりでパーティーを工夫し、計画された方が多かったのではないでしょうか。オリンピックも佳境を迎え、今年のお盆くらいからはまたいろんな工夫が増えていくのでしょうか。
海外ではそんな時、家族や友人を招いてのホームパーティーを催し、大きなオーブンで七面鳥を丸ごと焼いてローストターキーを作ったり、ローストビーフなどがご馳走で出てくることも多いようです。では、まずはそんな流れからアメリカのローストビーフのお話を。
以下は、世界を代表するマーケティングコンサルタントの
ジェイ・エイブラハム著『限界はあなたの頭の中にしかない』から引用したものです。
あるところに、幸せな結婚をした男がいました。毎年クリスマスになると妻の実家へ行き、ローストビーフを食べて皆でお祝いします。
毎年恒例のことなのですが、その男は、妻とお母さんが、オーブンに入れる前に生のビーフの塊の両端をカットして捨てているのを見ていました。
それからオーブンで4時間ほどローストして皆で食べます。結婚して初めてのクリスマスには、オーブンに入れる前に生の肉の両端をカットして捨てることに注意を払いませんでした。
2年目も無頓着でした。3年目、ようやくその男は聞きました。なぜ妻もお母さんも、オーブンに入れる前に肉の両端を切って捨ててしまうのかと。
すると、お母さんは言いました。「私のお母さんから教えてもらったのよ」と。たまたまその年は妻のおばあさんもいて、男は尋ねました。「なぜおばあさんは、妻とお母さんに、オーブンに入れる前に肉の両端を切ることを教えたのですか」。おばあさんは言いました。
「あら。昔、ヨーロッパからアメリカに移民してきたとき、アパートにはとても小さなオーブンしかなくて、肉屋からいちばん小さいロースト用ビーフを買ってきても うちのオーブンには入りきらなかったの。それで生のうちに両端を切ってオーブンに入れるようにしただけよ」
これでやっと、この親子は、ローストビーフを意味もなくカットしていたということがわかったのです。人のやっていることを、深く考えず真似る。次の人もそれをやる。彼女たちもおばあさんがやっていたことを理由も疑わず、真似をしただけなのです。
私たちが今求められている「事業変革」や、「イノベーション」のヒントは、まずここから見えてきます。先輩がやっていたから今年も変わらずやっていること、会社がそうしてきたから疑問を抱かずやっていること、やる意味はよく解らないけど、それほど害もない、なんとなく続けてやっていることが実はたくさんあるのではないでしょうか。
我々のコンサルティングプロジェクトでは、スタートしてから、ワークショップなどで「課題の整理」や「本質的価値の抽出」などを徹底的に行います。
その際、我々のような外部チームがフラットな視点でクライアントの社内を見ると、「なぜこれを今やるのか?」「どうしてこれを活かさないのか?」というファクトが必ずと言っていいほど出てきます。
お尋ねすると、「そうなんです・・・前から思っていたのですが・・・」に続き、「できない理由」が沢山出てくることが大抵です。
もちろん、築き上げてきた構造上、どうしてもすぐにはできないことや、各部署単位ではどうしようもないことは存在します。しかし、逆に「今すぐできること」や「少し先を見据えて準備できること」も、同時に必ず存在するのです。
ところが多くは、「今やらねばならないこと」に追われ、前者の二つには手が出せないケースが多いのです。この「今やらねばならないこと」を、我々は「MUST」と呼び、「今すぐできること」を「CAN」、「少し先を見据えて準備できること」を「WILL」と呼びます。この、「WILL、CAN、MUST」をきちんと整理し、優先順位をつけてプロジェクトを設計します。
ローストビーフの話から大きく飛躍しましたが、事業変革やリブランディングのヒントとして、ジェイ・エイブラハム氏の説く「限界はあなたの頭の中にしかない」は、まさに我々の一番近くにある、最大の課題なのだと気付かされます。
重要なのは、これを担当ごとで抱え込んでしまうのではなく、横の部署、上の役職の方々もうまく巻き込んで、「本当の問題」を、仕事の表舞台に出していくことです。
「イノベーション」と言ってしまうと些か大袈裟かもしれませんが、私たちは今まさに「事業変革」を求められているタイミングです。次々と現れる海外のブランドやサービスの上陸に始まり、コロナショックでそれはさらにリアリティーを増しました。
高度経済成長期に完成された事業の連続的な成長から、非連続な成長を生み出さなければならないこの瞬間。まずは手元のミッションに潜む「自分の頭の中の限界」を見つけてみることがもっと重要かもしれません。
かくいう私自身も、広告とはこうあるべきだ、マーケティングはこうするべきだ、と、前例主義でもありました。社内やチームでも、古き良き伝統や慣習が当然存在し、「限界を自ら作っている」ものも、まだまだあります。
その当たり前は、本当に当たり前か?もちろん、普遍的で大切なものは、きちんと守りながらですが、いい意味で既存のルールを見直し、本質を見なければ生き残れない瞬間なのだと改めて実感しています。
私たちは、PMO(プロジェクトマネージメントオフィス)という役割を、クライアント様に提供することで、第三者の目でしっかりとこの「本質を磨き直す」支援をしていきます。そして、コンサルテーションだけではなく、きちんとエグゼキューション(実行フェーズ)までを共創することで、ブランドに変革を起こし、持続可能な状態を作ることを目指します。
「頭の中にある限界」を見つけることが必要ではないか?と感じられた方は、いつでもご相談をお待ちしております。ストラテジー、テクノロジー、クリエイティブの3つの掛け算で、事業変革やリブランディングを実現するYRK&にご期待ください。