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#2 令和時代における純粋想起ブランドランキング 企業TOP50編

令和時代における
純粋想起ブランドランキング
企業TOP50編

もしあなたが、『好きなブランドは、何ですか?』と質問されたら、どんなブランドを思い浮かべますか?今、頭に浮かんだそのブランドは、日常的の中で頻繁に接点のあるブランドではないでしょうか。果たして、上記にランクインしたブランドとは?

1位 ディズニー

2位 イオン

3位 パナソニック

4位 ユニクロ

5位 Amazon

ブランド=ステータスの終焉

このランキングのポイントは、純粋想起にて調査が行われている点です。少し昔の話になりますが、昭和〜平成時代(前半)では「ブランド」という言葉から連想されるのは、「バッグ」や「海外製の自動車」「腕時計」といった高級嗜好品が多かったように感じます。当時は、ブランド品を所有することが憧れであり、ステータスでした。

しかし、令和元年の今回のランキングをみると、状況が一変しています。なんと「ルイヴィトン」が、42位という結果に。

上位にランクインしたブランドはいずれも、幅広い世代に接点があるデイリーブランドばかりです。

さらに、ランクインしたブランドを詳しく見てみると、大手生活日用品企業やブランドが3つランクインしています。

21位 花王

35位 ライオン

50位 ジョイ

決して、かつて「ブランド」と呼ばれた高級嗜好品の価値が下がった訳ではないと思います。しかし、このようなランキングとなった要因は、様々な業界の企業や商品の多様化が進むにつれて、生活者が「ブランド」と認識する対象が変化したからではないでしょうか。では、これからの「ブランド」に求められるのはどのような姿でしょうか?

ブランドは主張から寄り添うへ。

これまでのブランディングは、アイデンティティを世の中へはっきりと主張していく活動が多かったように感じます。しかし、現在、そのような一方通行のブランディング活動では、全く太刀打ちできなくなってきています。これからのブランディングで忘れてはいけない視点・指標は、「ブランド・セイリエンス」です。セイリエンスとは、ブランドの突出性のことで、単純に「知っている」ということだけではなく、生活者の心の中で、ブランドの存在感があるかどうかを純粋想起から測定します。ブランド・セイリエンスを高め、「生活者が、どこかでブランドの事を気にかけてくれている」という状態を目指します。これからのブランディングは、自分のアイデンティティを明らかにした上で、ブランドが生活者に寄り添う、相互通行のブランディングが求められているのです。

2つの距離 - 精神的距離と物理的距離

今回、ランクインしたブランドを分析すると、2つの共通項が見えてきました。1つ目は、「ブランドに安心感・安定感があり、精神的距離が近いこと」。2つ目は、「ブランドが身近であり、物理的距離が近いこと」。

例えば、1位のディズニーは、全ての施設で働くキャストが、The Four Keys 行動規準 ~4つの鍵~のもと、来園者にディズニーでしか味わえない体験を提供しています。4つの行動基準とは、「Safety(安全)」「Courtesy(礼儀正しさ)」「Show(ショー)」「Efficiency(効率)」です。安全で丁寧な空間を大前提に、オリジナル性の高い演出でゲストを楽しませることで、ブランドと生活者の心の距離がとても近くなっています。また、東京から約1時間で到着するディズニーリゾートは、ある種、物理的距離が近いと言えます。さらに、ファン同士の繋がりやコンテンツの拡散力が高いため、SNSなどでの日常的な接触回数も多いと予想されます。

2位のイオンも、同様の傾向が見受けられます。例えば、WEBサイトの中で、「お客さまへの誓い」を公開。その内容は、“「すべてはお客さまのために」の視点で行動し、お客さまの日々のくらしに密着した「安心」と「信頼」を提供します。” と記されています。全国を網羅した地域密着型の小売流通だからこそ、いつ・どこで来店しても変わらぬ安心・安全が保証されていることがブランドとの精神的距離を縮め、モール/スーパー/コンビニなどの圧倒的な店舗数が、物理的距離を縮めていると言えます。3位のパナソニックは、毎日の住空間の中での反復的な接触が非常に多く、その1回1回の接触は、安心/安全で、そして快適な体験になっています。

ユニクロ、Amazon、花王、ライオン、ジョイについても、安心/安全かつ量的な接触により、「精神的距離」と「物理的距離」の2つの距離がとても近いと言えます。

接触回数が増えるほど、対象に対して好印象を持つようになる「ザイオンス効果」という言葉がありますが、純粋想起の視点では、その効果の通り、決して華やかではないが安心/安全で快適な体験を、日常生活の中でどれだけ量的に積み上げていけるのかがブランドにとって重要になってくるのかもしれません。

ブランド名 BSスコア
1 ディズニー 25
2 イオン 22
3 パナソニック 20
4 ユニクロ 18
5 Amazon 17
6 Yahoo! 16
7 楽天 15
8 USJ 14
9 トヨタ 13
10 マクドナルド 10
11 ニトリ 9
12 TOTO 9
13 iPhone 8
14 無印良品 8
15 ソニー 7
16 セブンイレブン 7
17 スターバックス 7
18 dyson 7
19 ららぽーと 6
20 Honda 6
21 花王 6
22 Google 5
23 ヨドバシカメラ 5
24 ANA 5
25 IKEA 5
26 Apple 5
27 LIXIL 4
28 資生堂 4
29 日産 4
30 シャープ 4
31 JAL 4
32 GU 4
33 高島屋 4
34 NTTドコモ 3
35 ライオン 3
36 東京ガス 3
37 DHC 3
38 ダイソー 3
39 LINE 3
40 大阪ガス 3
41 しまむら 3
42 ルイヴィトン 3
43 日本経済新聞 3
44 朝日新聞 3
45 日立 3
46 東芝 3
47 関西電力 3
48 読売新聞 3
49 Youtube 2
50 ジョイ 2

調査は、首都圏・関西圏の18歳以上の男女7,410人を対象に行われ、「好きなブランド」と「好きな理由」を自己記入してもらう純粋想起法に基づいて集計されています。


引用:丸の内ブランドフォーラム ブランド生態調査2019(https://mbforum.jp/