New Business Branding
老舗洋菓子がブランドイノベーションを起こした
新規事業ブランディング事例
老舗洋菓子メーカー 様
クライアント様は、大手百貨店に新ブランドの出店が決まり、日本の老舗洋菓子メーカーの次の一手として、今までにないコンセプトを持ったブランドの立ち上げを目指されていました。
元来クライアント様は創業から50年間、ブランド立ち上げの際、コンセプトや方針などをアウトソーシングすることはなく、すべて自社で完結されていました。従来通り自分たちで作り上げていくことも可能であったのにも関わらず、思い切って客観的な視点による新しいアクションによって立ち上げることをご決断されました。
こうして、パートナーと一緒に取り組む新ブランド設計と新規店舗開発というクライアント様にとっての初の試みがスタートしました。
実店舗OPENまでの期間:8months
ビッグデータ、オープンデータのフィジカルな情報にプラスして、足を運んでしか体験できないエモーショナルな情報を手がかりに調査を行う。擬似体感も兼ねて、街の洋菓子店から和菓子店、カフェ等に出向き、あえてカフェ内で打ち合わせ等を行う。
前項の調査で得たアイデアとネタをクライアント様側のパティシエの責任者、広報宣伝の責任者を交えてディスカッションを実施。ここではあえて綺麗にまとめずにフラットな情報のまま提出することを選択。更に、重要なパティシエの想いをヒアリングすることを徹底し、何度も会話をする機会を設ける。
【ディスカッションにおける着目点】
・パティシエの視点
(作り手側の想い)
・企業の視点
(売り手側・ビジネス領域の想い)
・調査、分析結果から見えてきた生活者目線
(消費者の感情や意思決定の想い)
ここから持ち寄ったアイデアで反応の良かったものを整地化して、徐々に具現化していく。この時点ではディスカッションに置ける着目点をベースに、ブランド像の走りの部分を少しだけカタチに。同時に、出店する百貨店向けの提案資料の制作もサポートし、併走で出店計画における着想活動を行う。アイデアの具体化・ペルソナ・出店計画の3つがパラレルで動く制作進行において、当社のコンパクトコミュニケーション®デザインの効果を発揮する。
前項のファシリテーションで見えたブランド像をここで一気に制作。ストーリーテリング等も行いつつ、『こうあるべきだ』という明確なコンセプトをプレゼンテーションする。
【制作物一例】
① ネーミング
② マーク
③ ブランドコンセプト
④ パッケージデザイン
⑤ プロダクトアイデア 等々
確定したネーミングやブランドコンセプトに加え、最後にブランドの「格」となる要素を追加。これがいわゆるブランドの「らしさ」であり、これによってクリエイティブの質が向上し、最終的にマークの形状が決定する。
決定したマークやコンセプトを元に、広告、パッケージ、各種ツール、ショップデザインなどの各種制作工程へ
新ブランドには複数店舗があるわけではないため、制作物に対しては何度もコストの見直しを実施。短いスケールやサイズの小さいキャパで、必要最低限のものをチョイスし、そのクリエイティブをどうするかを常にチューニングしていく。お金のかけどころを特に考慮し、各種社内事情などに対する解決策の答えも出した。
問題解決ポイント
データや数字など世の中に落ちている物理的な情報だけではなく、現場に何度も通うことで、現場のコンディションや人の流れ・行動を観察。また、メンタルな情報を集めるため、百貨店、カフェなどで女性が行う一連のストーリーを疑似体験。これにより、「リアルな現場コンディション」や、ターゲットの「感情」「行動」「興味」などの情報を元に改めて見えてくるブランド像の種を膨大に収集。
企業の想いと生活者の想い、生菓子とギフトの割合など、すべてにおいてどちらかに寄りすぎてもいけないという考えのもと、各要素の最適なバランスを常に意識し、プロジェクトを進行。
チャレンジアクション
クライアント様の状況やコンディションを把握し、ファシリテーションやブレスト、ヒアリングに時間をかけ、決定事項をプレゼンテーションで決めずに、徐々に作り上げていく工程を選択。こうして作り上げたコンセプトを、各専門領域に特化したソリューションを横断することで、全く新しい発想やアイデアを生み出し、実現できた。
従来、日本人特有の職人スタイルである「堅実」や「責任感」を大事にする風潮があるがゆえ、それが邪魔して発想が凝り固まってしまい、まったく新しいものは生まれない傾向がある。そこで今回は、時代に合わせてそれぞれの領域のプロから意見を聞き、セッションし、具現化し、チューニングすることで生まれたオープンイノベーション型コンテンツとして新ブランドが生まれた。
出店した百貨店の同フロアにおいて、新ブランドにも関わらず売上が1位に。
某著名人などのブログ記事にて、持っていったら喜ばれるスイーツに選ばれるなど。
新ブランドにより、新たな企業への期待感をリクルーターやパートナー企業へ発信できた。
また、インナーブランディングにも大きく関与し、社内の別ブランド部署への相乗効果を創出。
エグゼクティブプロデューサー
山口 博之
コミュニケーション・コンサルティング室
シニア・クリエイティブディレクター
戸田 成人
東阪事業戦略室
新ブランドの初動や浸透度合いを評価いただき、別のブランドのリブランディング課題に取り組み中。また、ギフト商品の浸透と定着を検討するフェーズへ移行。