2025.02.26
2025年1月30日に大阪で開催した、人材戦略とブランディングの成長について議論を深めたYRK&主催のビジネスイベント「Brand Growth Meeting」。
チャプター2では、大手企業の人事責任者代表として、ダイドードリンコ株式会社の石原健一朗氏とオルビス株式会社の岡田悠希氏をゲストに迎え、自社の人材マネジメントの取り組みについて語りました。「主体性」を育む施策、優秀人材のリテンション(人材流出防止)、企業文化の浸透、さらには副業制度への対応まで、多岐にわたるテーマを深掘りしました。本記事ではそのエッセンスをお届けいたします。
新たなレールをつくり、イノベーションを起こす人材が「主体性」のある人材。
決められたレールの上を自ら進む人材は「自主性」のある人材と表現します。
もちろん会社は、「主体性」のある人材を求めているわけですが、この言葉の定義を統一することが、社員の意識を変えていくんです。
ハイパフォーマーの離職を防ぐために、経営陣との接触機会を意図的に増やしています。
その上で、報酬や権限ではなく、会社のカルチャーやミッション・ビジョン、そして人との付き合いでリテンション(人材確保)を維持させることが、強い組織を形成する上で不可欠な要素です。
低パフォーマンス層を排除するという形はとらず、高パフォーマンス層に光をあて、評価をすることで、企業にとって重要な人材の条件に自然と気づいてもらえるような戦略をとっています。
低パフォーマンス、高パフォーマンス問わず、公平な評価を行います。
個人として低パフォーマンスといえる人材は、育成で高パフォーマンス層へと成長できるかもしれないのですが、組織全体のパフォーマンスを下げるような悪影響を及ぼす社員に関しては、経営陣とHRが協力をして適切な対応を実施します。
「理念を記憶させる」のではなく「理念の意味を理解させる」という教育を重視しています。「問いかけ型」で、社員一人ひとりがビジョンに対する理解度を実感できるようなワークを実践しています。
マネジメント層がMVVをもとに自分の言葉で部下に対して話ができるか?
行動指針に対してどれくらい実践できているか?ということがMVV浸透の近道だと思っています。
3ヶ月ごとに行動指針のフィードバックを行っていて、6年間徹底的に繰り返しています。
「自主性」=決められたレールの上を自ら進む人材
「主体性」=新たなレールをつくり、イノベーションを起こす人材
社員の意識を変えるには、言葉の定義を統一し、明確に伝わるようにすることが重要。
報酬や権限ではなく、会社のカルチャーやミッション・ビジョン、そして人とのつながりでリテンション(人材流出防止)を図る。
低パフォーマンス層を排除するのではなく、高パフォーマンスの社員を評価することで企業にとって重要な人材条件を社員が理解しやすいようにする。
組織への悪影響がある社員には適切な対応を行う。
・ビジョンは「理想像」であるという前提の共有
理念を記憶させるのではなく、問いを通じて意味を理解させる教育を重視する。
・マネジメント層の実践
MVVを自分の言葉で語れるか?行動指針をどれだけ実践できているか?
行動指針に対するフィードバックを定期的に実施することで、浸透を行う。
本イベントを通して参加者たちは、人材戦略・企業文化の醸成になくてはならないヒントをインストールできたはずです。大阪・関西万博が開催される今年、関西をより一層盛り上げていくためのきっかけとなるイベントとなりました。
Speaker
ダイドードリンコ株式会社
人事総務部 人財開発グループ シニアマネージャー
石原 健一朗氏
大学卒業後、京セラ株式会社に入社し、在職中は一貫して人材開発、組織開発に従事。教育研修の全社統括部門において、階層別教育や役職別教育を新規で立ち上げ、教育体系の再構築を実施。企画部門の責任者として階層別教育の内製化、各種研修の企画・運営・講師を担当。また、多角化企業の同社において、各事業のさまざまな部門の組織開発を行った経験を踏まえ、複数の階層向けのリーダーシップ教育プログラムを新規に自前で開発し全社展開を実施。2015年にダイドードリンコ株式会社に入社後は、次世代リーダーの育成選抜プログラムを主軸に据えた教育体系の構築に従事し、人事企画、採用、人財開発、組織開発、タレントマネジメントまで幅広く携わりながら、人事戦略の策定から実践まで行う。現在は、人的資本経営を推進する中で、主体的なキャリア形成を支援する仕組み「DyDoキャリア・クリエイト」を導入し、従業員のエンゲージメント向上と多様性の尊重を実現する組織開発を推進。2020年には副業制度を構築し、人財・組織KAIHATSUオフィスの代表として、様々な会社のコンサルティングも行う。
Speaker
オルビス株式会社
HR本部 本部長
岡田 悠希氏
2018年からオルビスにて、リブランディングによる構造改革と両軸で戦略人事戦略を遂行。採用ブランディング、組織開発、人事制度改革を立て続けに主導。一昨年には、さらなるブランド成長を見据え行動指針を大きくアップデート。オルビスが掲げる「スマートエイジング®」の提供価値のもと、一人ひとりが自分らしく働ける組織づくりを目指す。