マーケティング支援ツールの“盲点”
システム導入だけでは解決できないこと

2021.07.02

マーケティング支援ツールの“盲点”システム導入だけでは解決できないこと


企業を取り巻く市場環境の変化やDX推進という名の下に「MA」「SFA」「CRM」といったマーケティングツールの導入に踏み切る企業様は多いのではないでしょうか?しかし導入をしてみたは良かったが、社内でうまく活用できていないという声をよく耳にします。このコラムでは、マーケティング支援ツールの盲点とそれを乗り越える解決策について解説いたします。

マーケティング支援ツールとは

現在注目されているマーケティング支援ツールの代表格に「MA」「SFA」「CRM」などがありますが、改めて各種ツールの役割や目的をおさらいしていきます。

●MA(マーケティング・オートメーション)

見込み顧客の獲得、育成、分類、管理が得意。特に顧客育成に重点がおかれ、リードナーチャリングとも呼ばれています。顧客の嗜好や行動に合わせて情報提供したり、行動履歴からスコアリングすることができます。

マーケティング支援ツール①MAツール

●SFA(セールス・フォース・オートメーション)

日々の売上(利益)の収集、営業プロセスの把握~進捗管理~改善、営業ノウハウの共有が得意。顧客管理、案件管理、行動管理を行うことで売上予測や実績を可視化することができます。

マーケティング支援ツール②SFAツール

●CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)

顧客の囲い込み、ファン化が得意。顧客との継続的で良好な関係を構築し、リピーターを増やすことで長期的な収益向上、ファン化による購買額の最大化に寄与します。

マーケティング支援ツール③CRMツール

マーケティング支援ツールを導入した企業様の悩み

マーケティング支援ツールを導入した企業様の多くから「導入したけれど使いこなせない」「運用が回らない」といった声を聞くこともしばしば・・・。せっかく費用をかけて導入したツールが無駄になる事もあります。

私自身の経験談としてのよくある勿体ないパターンとしては、単なるメール配信ツールになっていたり、事業部の営業日報、コールセンターのお問合せ台帳になっているといったものです。

当初は「あれもできる!」「これもできる!」と希望をもって導入したと思うのです。もちろん、データインプットはマーケティング支援ツールの基本のキなのですが、マーケティング支援ツールを導入してやりたかったことと現実が乖離してはいないでしょうか?

そもそもこれらのマーケティング支援ツールは、目的・目標に合わせて設定と最適化を繰り返すことでやっと自動化される「箱」なのです。設定と最適化を繰り返す部署や各タスクに紐づくメンバーを明確にしてやっと運用が回るようになります。

マーケティング支援ツールは「箱」

私が手がけた企業様のほとんどは、一旦ツールベンダーに導入サポートを依頼されるのですが初期設定のサポートがメインで、実際の運用については「企業内のリソースで運用を完結させよう」とされます。

必然的に「企画も、設計も、制作も、設定も全部私一人で回してるんです・・・」というお話をよく聞きます。そういったことを踏まえて、忘れがちな社内のリソースとBPOの使い分けを、私の経験値をもとに、整理・考察いたしました。

マーケティング支援ツールをフル活用するために①
<他部門との連携を考える>

主にマーケティング部門で運用する企業が多いかもしれませんが、マーケティング支援ツールの目的は「受注を増やす」「商談数を増やす」ためのものであることが多いため、営業部門との連携が必須となります。

マーケティング支援ツールによって生み出された「きっかけ」を営業部門に渡しても、その後の「結果」を入れてもらわないと目的・目標に合わせた調整ができません。営業部門にも履歴を残す意識を持ってもらう必要があるのです。

顧客との商談記録、製品やサービスに対する反応を社内全体で情報共有できれば、改善策が立てやすくなったり、新たな課題を見つけやすくなったりするはずです。導入に当たってはマーケティング部門にまかせっきりではなく、営業部門、経営管理部などとの連携が必要不可欠になります。もし、協力関係を築くのが困難な場合は、第三者(PMO的立場の人材)を入れることで中立的な立場から体制を構築することも可能です。

マーケティングツール活用のポイントは体制構築

マーケティング支援ツールをフル活用するために② 
<業務内容・フローを明確化する>

では、具体的に「どの部署」の「誰」が「何をやる」かを落とし込んでいくわけですが、業務や役割を明確化しないと業務効率は上がらず、成果も見えないので現場のモチベーションもあがりません。

また、具体的な落とし込みをすると「足りない人員」や「必要なスキル」などが見えてきます。たとえば、施策に必要なメールやLPなどのクリエイティブ制作、時間がかかるアポ取り、マーケティング支援ツールの設定など、多岐にわたる業務をマーケティング担当者ひとりで対応することは難しいことが分かります。

業務内容を書き出し、担当者を割り当ててフローを明確化してみてください。想定外の業務や社内のリソースでまかなえない部分が意外に出てくると思います。

マーケティング活用のポイントはフローの明確化

マーケティング支援ツールをフル活用するために③
<運用できるチーム体制を作る>

マーケティング支援ツールの立ち上げ時は、とにかく量をこなさないとなりません。つまりメール配信やホワイトペーパー、セミナー(ウェビナー)などのコンテンツの量産が必要になってきます。

たいていの場合、社内で人員を補う方法を取りますが、スキルや社内体制の問題でチーム編成が難しい場合はBPOも視野にいれて体制を整えることも考慮すべきです。運用を軌道に乗せるためにも、マーケティング担当者はコンテンツ資産の整理や営業企画、目標達成率や売上予測などの分析のために時間を確保することの方が重要です。

さいごに

マーケティング支援ツールを活用できていない理由は、「社内連携」と「業務内容の整理」、「チーム体制」が整っていないことによります。仕事をしていれば整えるのが「当然のこと」なんですが、マーケティング支援ツールを導入するとなぜか見えなくなってしまうようです。

システム導入をすることで解決できない『運用』の問題。しっかり運用の道筋を作って、売上に貢献するマーケティング支援ツールを育てるといった目線で見直しをしてみてはいかがでしょうか?

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株式会社YRK and
A&D dept.
シニアマネージャー
上原 久幸
Writer

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シニアマネージャー
上原 久幸

2004年、株式会社YRK and入社。東京在籍中は企業の会員制サイト、通販システム、キャンペーンサイトの開発や運用に携わる。2009年、大阪WEB com.転属後は百貨店通販サイトのインソーシング部隊として7年にわたり常駐。EC売上改善、運用フロー改善、サイトリニューアル、アプリ開発などクライアントと共にオムニチャネル戦略を推進。現在はデータドリブンに対応する「A&D dept.」にてMA・SFA・CRMなどマーケティングオートメーションツールの導入支援、業務フローの最適化などを行う。リアルとデジタルの融合が生む新たな顧客接点の構築を目指す。

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